選べないものは、何なのか

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DVDで出ているそうですが、文庫本のほうです。
本を拾ったので、読んでみました。
東京なんかだとたまに見かけた、駅文庫(本当は何て言うんだ?)みたいなところ。
 
読み始めたときは、三流ポルノかと思ったのだが(失礼)
いやいや・・・。
なんか、すいませんみたいな。
 
以下、重要部分のネタばれです!注意
 
 
これ、恋愛小説なのですが、主人公がその関係について悩むところで、
亡き妻の母(かつての義母)から語られるシーンがあります。
亡き妻とその母の関係は結構酷いもんだったようなのですが、
この母親の語りにハッとさせられました。
要点は以下です。
 
世の中の人は、「好き」かどうかということに振り回されすぎている。
人生の中には、自分の両親や、恋人、友人といった奇妙な縁で繋がった選べない人々が存在する。
その人が好きかどうかということは、二の次の問題だ。
実際に、その人間が選べないものであるということがはっきりしたら、後は愛するだけのことだ。
 
元の小説では、上の語りが2ページ半に渡って続くので、
興味がわいたら是非読んでみて下さい。
で、こうした語りの後に、
自分は娘を好いてなどいなかったが、誰よりも愛していた。
と続くのですが、まあ、そりゃいいとして。
 
降って湧いたような関係で、確実に愛しているといえる人間は私にはあまりいませんが、
それって、「好き」と「愛している」が両方兼ね備えたものに対してのことだったのかなぁ、
と、この本を読んで思いました。
「好き」ではないが、「愛している」というのは、あるのかもしれない。
たとえば、私の場合は、両親。
両親なのだから、愛さなくてはいけないと思って苦しんできたが、
私が今まで思っていた「愛する」というものは、
「好きでいる」という行為なのではないか?
別に、「愛すべき対象」を「好きでいる」必要は無いのだ、
そう思いはじめました。
別に、一緒じゃなくていいのか・・・。
新しい視点だなぁ。
でも、私の中では腑に落ちました。
 
別々なら、いえる。
「愛している」と。
「愛」と「好き」は別物だったなんて、今まで全然考えてなかった。