1867年サーシャ・マグワイヤ

今回は、直前の前世を知ろう、と思って瞑想CDを聞いてみた。
楕円形の鏡に縁取りがあり、その中にポン、と放り込まれるような感じだった。
 
気が付くと、小さな手足の自分。
3,4歳といったところだろうか。
下着のような白い生成りのワンピースを着ている。裸足だ。
円柱状にまとめられた、大きな藁の塊が木の荷台に積まれていて、その上に私はいた。
ちょっとちくちくして、ふわふわの藁の上でゴロゴロしていた。
刈り取られた畑が広がっているのが見える。
兄だろうか。その荷台を牽くロバを操っている。
私の名前は、サーシャ・マグワイヤ。
今は1867年あたりらしい。オランダか?
私の髪は濃い赤茶で、頬の辺りにそばかすがあった。
鼻が、細長く高かった。
自分の容姿は、美人ではないが嫌いではない、という感じだった。
自分では愛嬌があって可愛いと思っていたかもしれない。
 
場面が変わり、私の右隣に兄がいる。彼の名はジャックだ。
ジャックは私より4,5歳年上といったところだ。
家の中で、左側に木のテーブルがあり、床も木だ。
突然、私たち兄弟の目の前に、母が倒れた。
うつ伏せでいる。
ドタン、という音がはっきりした。
そのとき、私はひざ下までの編み上げのブーツを履いていた。
恐怖で両手の指を口の中に突っ込み、泣き叫びながら、地団駄を踏んだ。
兄は左手で、私の肩を呆然としてしっかりと抱き寄せたが、
私の混乱は収まらず、恐ろしくてその場でジャンプし続けた。
 
私は、少女か、もう成人かという年になっていた。
家族の中から、母がいなくなっていた。
亡くなったというのと、再婚して去ったという認識があった。
死を怖れすぎた結果かもしれないし、実際両方事実だったのかもしれない。
私は、キッチンに父といた。
大きな黒い鍋などが見える。
父は顎の周りにもしゃもしゃのひげを蓄え、かなり痩せ型の体系だった。背も高かった。
父がの動作が急にストップした。
次の瞬間、
直立していた父は突然青くなって倒れた。
受身も取らず、木が折れるように倒れた。
私は、どうしよう、と思い外に飛び出そうとした。
このとき、兄はもう結婚して家から出ているという感じがあった。
もう、兄を頼れない。お医者様も父は治せない。
自分の血の気も引くようだった。
(みんな死んでしまう、私の周りからは誰も居なくなる)
という思い恐怖が自分に圧し掛かってきた。
 
また場面が変わり、私は河原に居た。
黒髪の、可愛い女の子と一緒にいた。
彼女は小花柄の薄紫のワンピースで、皮の編み上げブーツを履いていた。
私も同じような格好だろう。
彼女は私の少し癖のある髪を編んでいた。
「ねえ、誰と結婚するの?」
「やだぁ」
というような話を、想像したりして笑いながら話していた/笑。
何かの拍子で、私は河に落ちたらしい。
滑り込むように、川底にするりと入っていくような感じがあった。
死んでしまう!という意識はあったが、恐怖は一歩引いた感じで、それほど大きくなかった。
しいていえば、自分の番が来たか、という感覚だった。
黒髪の友人が、川岸から私に激しく叫んでいた。
「エレン!」
という言葉が耳に入ったのが最期だった。
その名で呼ばれたか。それとも、彼女の名を呼んだのか、判らない。
私はそのまま溺れ死んだようだ。