前763年砂漠

気が付けば、砂丘が目の前にあった。
私は砂漠を渡る人のする白い装束を纏っている。
先を行くらくだが見える。
年代を聞くと、前、763年、と答え。
私は、倒れそうなほど疲れきっている。
この砂漠越えが終われば、
あのらくだに積んである荷物は金に変わり
新しい富を手に入れて帰ることができるという希望が
心の中でかすかに光っている。
けれど、今、自分は死んでしまいそうだ。
 
らくだに乗ってしまえば、
彼は過重に耐え切れずに砂漠の中で死んでしまう。
荷物を置いていくことも出来ない。
手を伸ばして、らくだのこぶに寄りかかる。
手を見て、ああ、私は男性なんだとわかった。
黒い皮袋に入った水に口を付け、息を深く吐いた。
どこも、黄色い砂漠の砂ばかりだ。