鎌倉時代、伊勢へ代理参り?

来週まで更新できないかもしれないので、
たまっているものは書いてしまいます。
 
今回、足元を見ると脚絆にわらじだった。
鼻緒は群青か紫色っぽい。
私の着物は群青に白い斑点が入っている模様だ。
私は男だった。
年代を聞くと1235年だという。
鎌倉時代だ(ウィキペディアで調べてます/笑)。
 
私は、女一人と山道を歩いている。
彼女は結構体がしっかりしているようで、
余程の段差でなければ手を貸さなくても歩くことが出来る。
私は彼女に「半蔵」と呼ばれ、私は彼女を「雪」と呼んでいた。
私たち二人は、何かの命を受けて東北地方からたった二人で
伊勢?に向かっているようだった。
「〜様(ダラとか聞こえた)のために」というようなことを言っていた。
 
雪は私の恋人でもあったようだった。
どこかの山の峰にたどり着いたとき、
二人で遠い山々を見た。
遠近によりグラデーションになる山の尾根が美しい。
雪は私の腰に手を回し、私は彼女の肩をしっかり抱いて、立っている。
彼女の頬が私の右胸に当たっている。
きつい山道も、彼女が共に居れば心は苦しくなかった。
 
三河が近くなったところで、雪が懐妊していることが判った。
半蔵の子供だ。
しかし、伊勢に行くのは急がなくてはいけない。
山や国を超えるのには、半蔵一人よりは雪が居たほうが良かったようだが、
身重の雪に山道を歩かせる気にはどうしてもなれなかった。
雪にも、それが命を果たすためには無理であることがわかっていたようだった。
彼女を三河の知り合いか何かに預けることになった。
半蔵は、「必ず迎えに来る」と言った。
本当にそのつもりで、強く言った。
しかし、雪は涙声で「必ず、必ず戻ってきて」と言って私にしがみついた。
彼女の涙が、私の右胸に染みを作った。
普段、何があっても泣いたりしない雪が泣くのをみて、胸が痛んだ。
 
それから、かなり急いで一人半蔵は山道を進んだようだった。
つらくなったときには、右胸を見た。
雪の作った涙の染みはもうなかったが、半蔵にはそれが見えていたようだった。
 
その後、どうなったか判らない。
何となく、半蔵は雪と自分の赤ん坊を迎えに行くことは出来なかったのではないか、
という気がした。
雪の「必ず戻ってきて」という声が、頭を離れない。