夫婦じゃないじゃん

帰郷 特別篇 [DVD]

帰郷 特別篇 [DVD]

はい、西島秀俊週間です。
嘘です。
ごめんなさい。
ネタばれます、ご注意ください。
あと、後半になるほど個人的な怒りが上昇します。
内容に精神状態が引きずられるという方、ご注意ください。
 
この映画、乱暴に粗筋を書くと
里帰りした主人公(西島)が昔、付き合いのあった女性に会ったところ、
そのころに生まれたと思わせる女性の子供(娘)と一日を過ごす、というもの。
女性はシングルマザー。
女性が失踪しちゃって、擬似父子体験をするわけですが。
 
この西島秀俊演じる男性が、我が父を彷彿とさせるのです。
あ、見た目はまったく違いますよ?ってそんなこと分かってるか・・・。
ちなみに、劇中に出た主人公の誕生日が父と同じだった/汗。
 
主人公は、勝手に一人で盛り上がっちゃって、チチオヤモドキを一日するのだが、
まあ、おいしい所しか味わっていないわけですよ、お嬢さんの。
責任の一端を負うというのは、実は喜びも伴うわけですが、
そういったところにまで波及していないのですね、考えが。
昔、女性が失踪したときに「探した」と言うのですが、
「本当に探した?」
と言ったときに言葉に詰まっている。
探してないわけですね。
まあ、いいけど。
 
自分の感情に任せて怒ってみたり、
父親という立場に酔って責任を取ろうとしたり、
駄目ですね、と思った。
でも、その子を人間として実は尊重してなくて、
ちょっと思い通りにならない飼い猫みたいな扱いですよ。
私から見れば・・・・。
凄い穿った見方ですが。
 
この映画のおかげで、父の良かったように見えた記憶も
自分が遊びたいときだけ遊ぶ、
叱ると怒るの区別がついていない、
子供が本当に欲するものが何なのか、考えもしない(そんなこと思いつかない)
相対するものが、人間という固体であることを尊重することを知らない
とかまあ、色々だったのだな、というのが分かったのですが
その記憶の照合をもって、
「ああ、あの人(父)って、「父親」じゃなかったんだー」
と思うに至りました。
劇中の主人公は一日の出来事で、もしこれが何年も続けば「父親」になったかもしれないが、
彼(我が父)はまだ、「父親」になってません。
もう無理かもな。気の毒なことよ。
 
ついでに言うと、彼は「夫」ですらなかったわけで、
さらに自分の母は母親になろうとしていたけれど、
その姿は全く、劇中のシングルマザーのそれなのですよ。
失踪はしなかったけど。
 
子供に
「私がいなかったら、おかあさんは「お母さん」じゃなかったの?」(うろ覚え)
と主人公が訊かれるシーンがあるけれど、それを言わせる母親はどうよ。
と思うわけです。
まあ、私の中に理想の母親像があってしまっているからこういうことに怒りを覚えるわけですが。
自分も子供時代に何度もこういうことは思ったわけですが。
子供に「自分の不自由はお前のせい」と言ってはいけませんよ。匂わせても駄目よ。
だって、生む選択やその行為を選択したのは自分でしょうに。
と、私は思います。
 
うちの母はそういうわけで、
己の不安も手伝って、私に子供でいることを許さなかった(許せなかった?)わけですが、
結婚しながらシングルマザー状態って、どうなんでしょうか。
あの必死さは、父のせいも多分にあったのだなと。
ていうか、「話し合って解決する」というスキルがゼロだった二人。
今はどうなってるか知らないが、・・・頑張ってくれ!
 
この映画のおかげで、
自分が「結婚し、子供がいても父母でも夫婦でもない二人」を両親にしていたのか
ということに気づきました。
まあ、そんな状況で年齢だけガッツリ大人になっちゃった私、
子供ができたら「毒になる親」にならないかちょっと心配です。
いや、そんな当ても今はないから気長に居て良いのかもしれないけど。
 
 
んー、
西島秀俊は美しいんですけどね。
何回か観ると、きっと感想は変わってくるんじゃないかな。
 
 
ていうか、
この監督、結婚して子供がいるようだが、子供は大丈夫なんだろうか。