強さ

 
強さとは、強情さだと思っていた昔。
 
昔というのは、不思議な言葉だなとふと思う。
十年一昔などという時間的な感覚もあるけれど、
自分の中でそのものが克服されると、それは昨日であれ「昔」になるのだなぁ、と思う。私は。
 
自分の強さとはなんだろうというとき、
今の私は弱さがあることを知っていること、と思う。
酷いことを言われたり、コントロールをされると、物凄く落ち込む。
悲しい気分がもやのように私の周りを取り巻いてしまう。
それを知っている。
自分の中に虚栄心があることを知っている。
虚栄心から、自分よりも優秀な人に敏感に気付くことも知っている。
対人恐怖的な意識から、つい、時折嘘をつくことを知っている。
押しの強い態度に出られると、相手こそが正しいと押し切られるような思いになることを知っている。
背水の陣で戦うとき、猛烈なストレスでつぶされそうになり、その影響でそれが終わった後長い休みが必要になることを知っている。
他人よりも、異常に多くの情報を感覚として受けてしまい、知らないうちに疲れきってしまうことがあることを知っている。
自分に攻撃的な態度をする人が正しいことを言っていたとしても、その攻撃から自分を守るためにその人を自分の中で悪役にして切り離すことがあることを知っている。
嫌いだと思ったら、その前に何が、どんなに深い付き合いがあったとしても自分の中から切り離し、消去しがちな性格であることを知っている。
自分を異常に守ろうとする性質があることを知っている。
職業に貴賎を感じることがあるのを知っている。
時として、人を馬鹿にすることで自分の精神を守ろうとすることを知っている。
嫌いなものを嫌いだといえないことが多いことを知っている。
私は、自分が弱いことを知っている。
 
これが今の私の強さだ。